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総合武術達人会での出来事と、天と地の間にいる中での想いをここに記します。(画像は天地流居合術雲払 太刀 銘 宮城典真)

by tokihikaru

真夢伝 急の巻 続

ある時またあの夢を見た。
夢の中で立ちすくむ少年に少年は心の中で問い掛けてみた。

「なぜ何もしないの?何で逃げるの?」
そうすると夢の中の少年は、

「何をしたらいいかわからないよ。恐いから逃げる事しか出来ないよ。」
そう答えた。

「戦う事は出来ないの?その恐ろしいものに立ち向かわない限り、この世界はずっと解決しないよ。」
そう語り掛けた。

「じゃあどうやって戦うの?武器も何も持ってないのに、あいつに殺されちゃうよ。」

その時少年はある事に気付いた。
「武器?そういえば真っ暗で全然気付かなかったけど、僕は右手に何か持ってるな。」
少年は右手に何か持っている事に気付いた。
暗闇で何かは見えないが少年はそれが何であるかはっきりと確信していた。

それは剣であった。

「僕は剣を持っている。これならあいつと戦えるかもしれない。」

少年の中に戦う心が生まれた。いや、正確には思い出したという方が正しいのかもしれない。


そこで少年は夢から覚め、また現実世界へと戻った。
そこは何も変わらない現実の世界。しかし少年の心の中では何かが変化し、何かが進んだ様に感じた。
だがあの夢の続きは現れなかった。




時が過ぎた。少年は成長し、一人の青年として生きていた。

現実の世界では何も変わらない日常。青年はこれからについて、将来について色々考える時期に来ていた。
自分はこれから何をして生きていきたいのか。何に向かって進んでいけばいいのか。
不安や悩みは色々とあった。

自分は何のためにこの世に生まれて来たのだろう。
この問いに真剣に答えが出せなければこれから先、自分自身に納得がいかない人生となってしまうだろう。

だが真剣に考えれば考える程、その答えはますます見つかる事はなかった。

心の中に不安や悩みを強く抱えながらも現実世界で生きる毎日が続いた。


どれだけ考えた事だろう。
そんなある日、青年はついにあの夢を見る機会がやってきた。






# by kenntatusennsei | 2013-03-31 19:22 | 真夢伝 | Trackback | Comments(0)

達研稽古会のご案内

達研稽古会(空手術・杖術編)

4月28日(日)
代々木オリンピックセンター
カルチャー棟 小練習室
19:00~20:30

料金3000


主な内容
空手術
空手型
突、蹴、受の基本動作
練芯法を用いた術技


杖術
杖術の基本動作
杖捌
分身法を用いた術技


申し込み、お問い合わせは
toru.hikaru.aka@gmail.com
まで


みなさんのご参加を心よりお待ちしています。
# by kenntatusennsei | 2013-03-29 11:45 | 日時のご案内 | Trackback | Comments(0)

真夢伝 急の巻

急の巻


さらに時が過ぎた。
少年は色々な物事を覚え、少しずつ子供から大人へと成長していった。
順調に現実世界での生活を送っていたが、そんなある日またあの恐ろしい夢を見る様になってしまった。


あの恐ろしいものが少年を殺そうと襲ってくる夢。
少年は夢の世界で強く身構えていたが、どうも前に見た夢と様子が違っていた。
恐ろしいものは確かにいるのだが、少年を襲っては来ない。
こちらの様子を伺っているのだろうか、攻撃してくる気配が全く無い。
しかし少年も何もする事が出来ない。


均衡状態のまま、時だけが流れていく。そんな内容の夢であった。
夢から覚め、現実世界に戻ってからも少年はその夢についてとても気になっていた。
その夢の中で自分は何かしなくてはいけないのではないか。
では一体何をすればよいのか。


しかしいくら考えても答えは見つからず、その夢を見ては時が過ぎるのを待ち、その場から逃げ、現実世界に戻るという選択しか選ぶ事が出来なかった。


現実世界での少年は物事に熱中する事が多く、好きな事はどこまでも追求していく性格であった。
しかしどの物事も追求していくと必ずどこかで行き詰まり、その度に自分の心の中に何か限界を感じていた。



ここから先に進むためには自分の心の壁を乗り越えなければならない。では実際に何をすればいいのかと考えると、やはりあの夢の中での出来事を思い出していた。


自分の中にある心の壁を乗り越えるためにはあの夢を解決させなければいけない。
少年はそう感じていた。





# by kenntatusennsei | 2013-03-26 21:28 | 真夢伝 | Trackback | Comments(0)

真夢伝 破の巻 続

旅人は必死で逃げ道を考えた結果、あの長い階段の先にある神社だけ道が空いている事に気が付き、神社の中に逃げようと決意した。


長い階段を抜け、神社に辿り着いたが村人も階段を上がりどんどん迫ってきていた。
神社の中に隠れようと旅人は思い、神社の扉を開け中に入った。
鍵は掛かっていない。

村人は神社を取り囲みいよいよ旅人は逃げ場を失った。
こうなったら戦って隙をついて逃げ出すしかないと思い、神社の中で武器になるものを探した。
しかし神社の中は暗闇で何があるのかもわからない。

そんな中、ついに村人が神社の扉を開けようとしてきた。
旅人は手探りで神社の中を探した。
すると何か細長い棒のようなものが手に当たった。
旅人はこれで戦うしかないと心に決め、村人が神社の扉を開けた瞬間、その細長い棒で攻撃しようとした。
しかし村人はその細長い棒と旅人を見た瞬間、驚いて逃げ出してしまった。


他の村人達も逃げ出すものや手を合わせて土下座をするものなどが出て来て旅人は不思議に思った。
神社の外に出て、月明かりでその細長い棒に目を凝らすと、それは棒ではなくこの村の宝物である剣だった。



旅人はその剣を持ったまま階段を降り村長の家に向かった。
村長は旅人とその剣を見て強い驚きを示したが、やがて旅人に話をし始めた。
どうやら村の言い伝えには続きがあるらしい。
それはこの村が危険に陥った時にこの村を守っている神様が宝剣を持ち、神社から現れ村を救ってくれるという話であった。

村人達には旅人が正にこの村の守り神の様に見えたのだと村長は言った。
それを聞いた旅人は何かが腑に落ちた様に納得し、これからこの村を守って行こうと心に思い始めた。
そして旅人はこの村に残り、その神社に住む事になった。




不思議な夢だった。一度きりしか見ていないその夢は、事細かに少年の頭の中にはっきりと記憶されている。


その夢が何を意味しているのかはわからなかったが、その夢を見てから少年の心の中で何かが変わった感じがしていた。






# by kenntatusennsei | 2013-03-19 21:55 | 真夢伝 | Trackback | Comments(0)

真夢伝 破の巻

破の巻


時が経ち、少年は現実世界で平和な生活を送っていた。
出てくる夢も現実世界での出来事が中心で、あの夢を見る事は無かった。



そんなある日、少年は一度だけ不思議な夢を見たことがあった。
少年は旅人だった。
長い旅路で体は疲弊し、食料も底を付き瀕死の状態だったが、近くの村の人に助けられ、その村で体が回復するまでの間しばらく暮らす事になるという夢だった。



その村には長い階段の上に神社があり、その神社には言い伝えがあった。

それはその神社の中にはこの村の大切な宝物があり、この村が危険に陥った時にその宝物がこの村を守ってくれるというものだった。

旅人である少年はその言い伝えに興味を示しながらも、自分とは関係が無い事だと感じ、特に気には止めず体の回復を待ちながらこの村で静かに暮らしていた。


ある日の夜、旅人は中々眠りにつく事が出来ずに住んでいる家の外に出る事にした。
夜の村を徘徊していると何やら村長の家の明かりが付いていて、人の声が聞こえる。
旅人は外からその声に耳を傾けた。


そこでは旅人が聞いてはいけない話をしていた。
話を聞くと旅人がこの村に来てから色々な悪い事が起こっているという内容だった。
災いをもたらす旅人をこの村からどうやって追放するかという話を村のみんなで相談していた。


それを聞いた旅人は思わず声を上げてしまい、外で話を聞いていた事が、村のみんなにばれてしまった。
村人達は旅人を捕まえようと追い掛けて来た。
旅人は必死で逃げようとしたが村人はどんどん増え、村の外に出る道は塞がれてしまった。






# by kenntatusennsei | 2013-03-14 22:00 | 真夢伝 | Trackback | Comments(0)